クレジットカードとデビットカード

クレジットカードについて

クレジットカード決済の関係者

クレジットカード決済の仕組みを、以下の関係者で説明します。

  1. 国際ブランド (Visa/Master/JCB/American Express 等のカードブランドの会社)
  2. イシュア   (issuer:カード発行会社)
  3. アクワイアラ (acquirer:加盟店を開拓する会社)
  4. 加盟店    (国際ブランドのカードが使える店舗)
  5. カード会員  (国際ブランドのカードを所有する人)

※ 実際には以下のように、区別が難しい場合もあります。

  • ほとんどの場合、カード会社がイシュアとアクワイアラを兼業している
  • 国際ブランドが、イシュアやアクワイアラを兼業しているケースがある
  • 大手小売業など、加盟店がイシュアを兼ねていることが多い

国際ブランドとイシュアについて

例えば楽天カードの場合、カード作成時に Visa/Master/JCB/American Express のブランドから1つを選択します。

この場合、Visa/Master/JCB/American Express は国際ブランドと呼ばれるものであり、楽天カード株式会社は、カードの発行会社(イシュア)です。

主な国際ブランドは上記の他に、Diners Club、銀聯、discover があります。

国際ブランドの役割

国際ブランドの各社は、自ブランドのクレジットカードが世界中の加盟店で利用できるように、決済ネットワークを整備して、決済サービスを提供します。

国際ブランドはイシュアに対して、ブランド利用ライセンスを供与します。また、クレジットカードを安全に利用できるための国際ルールを策定しています。

ライセンス料、決済手数料などが国際ブランドの収益になります。

イシュアの役割

カード会員が加盟店でクレジット払いすると、イシュアはその代金を会員の口座から引き落とし、加盟店の口座に入金します。

リボ払いの場合であれば、イシュアは代金を加盟店の口座に入金し、月々の返済金額を会員の口座から引き落とします。

カード決済1件ごとに、代金の3%程度が加盟店手数料(加盟店がイシュアに支払う手数料)になります。また、カード会員の年会費、分割払いやリボ払いの金利等もイシュアの収入になります。

アクワイアラの役割

アクワイアラは加盟店を新規開拓し、加盟店に決済サービスを提供します。
アクワイアラは新規加盟店に対して、カード決済の機器設置、および教育を行います。
また以下のように、加盟店とイシュアの仲介業務を行います。

  • アクワイアラは、加盟店からカード決済1件ごとの売上データを受取り、イシュアに渡す
  • イシュアは代金をカード利用者の口座から引落し、加盟店が受け取る代金をアクワイアラに入金する
  • アクワイアラは加盟店に対して代金を入金する

加盟店

国際ブランドのカードを使える店舗を、「加盟店」と言います。
加盟店には、Visa/Master/JCB など利用できるブランドのロゴが掲示されています。

加盟店にとって、加盟店手数料が発生することはデメリットですが、電子決済の導入による集客効果や、現金の取り扱いが減ることによる様々なコスト削減がメリットになります。

クレジットカード決済の流れ

以下、3つの登場人物(カード会社、加盟店、カード会員)に単純化して説明します。

クレジットカードの利用代金は後払いなので、利用代金を回収できないリスクがあります。
カード会社はリスクマネジメントのため、カード会員個人に与信枠(どれくらいまでの利用金額を認めるか)を設定し、定期的に見直しています。そして、クレジットカード利用1件ごとに、与信枠に基づいてカード利用の許可を与えています。これを「オーソリ」と言います。
カード決済の流れは以下のようになります。

  1. カード会員が加盟店で買い物をする
  2. 加盟店はカード会社に与信枠確認を行い、OK ならカード会社に請求処理をする
  3. カード会社がカード会員の口座から、月次で利用代金を引き落とす
    • 月末締めで、会員の当該月のカード利用額を合算する
    • 翌月下旬に、会員の口座から合算代金を引き落とす
  4. 翌々月上旬に、カード会社から加盟店に利用代金を入金する

※ 引落し日、入金日はカード会社によって異なります。

デビットカードについて

最初に、ここで説明する「デビットカード」を限定しておきます。
デビットカードには、以下2つの分類がありますが、ここでは 1. を「デビットカード」と呼ぶことにします。

  1. ブランドデビット(国際ブランド Visa/Mastercard/JCB のロゴ付きのデビットカード)
  2. J-Debit

銀行口座を開設すると、1. が発行されると思います。
ブランドデビットは Visa/Mastercard/JCB の加盟店で利用できるので、使える場面が多いです。
一方、2. は日本独自のものですが、加盟店が限られます。

デビットカードがクレジットカードと異なる点

まず、以下の点は同じです。

  • クレジットカードについて で説明した関係者と、それぞれの役割
      (国際ブランド/イシュア/アクワイアラ/加盟店/カード会員)
  • 決済ネットワーク、決済に使用される加盟店の機器
  • カードの見た目はほぼ同じ(デビットカードには DEBIT の表記がある)

支払い方法の選択肢が異なります。

  • クレジットカードは支払い方法を選択できる(一括/分割/リボ)
  • デビットカードは一括のみ

代金の引落し、加盟店への入金の方法が異なります。

  • クレジットカードは月次で一括処理
    • 会員の利用代金を月末締めで合算 → 翌月下旬:引落し → 翌々月の上旬:加盟店に入金
  • デビットカードは利用ごとに引き落として、週次で入金
    • 利用ごとの代金を即時口座から引落し → 週末締め、翌週末に加盟店へ入金

デビットカードの使い方

  • 加盟店で使う場合:
    • お店の方にカードを提示して「一括払いで」と伝えるだけでOKです。
      あるいは「クレジット一括払いで」でもOK。
    • 「デビットカードで」は言わないで下さい。(J-Debit と勘違いされることがあります)
  • オンラインショップで使う場合:
    • クレジットカードの入力欄にデビットカード番号などを入力して、一括払いを選択。

デビットカードのメリット

クレジットカードと比較すると、以下の点がデビットカードのメリットです。

  • 誰でもデビットカードを持てる
    • 銀行口座を開設すればデビットカードが付いてくる
    • 口座開設にはクレジットカードのような入会審査がない
      • 信用不安のある人でも口座開設できる
      • ただし、未成年者は口座開設が制限される
  • 安全・安心に使える
    • 口座残高が利用限度額になるので、使いすぎる心配がない
    • 一括払いのみで、分割払い・リボ払いがないため、高金利の心配がない
    • つまり、クレジットカードのようなカード破産が起こらない

デビットカードのデメリット

デビットカードが使えない場合がある
以下のようなもので、「クレジットカードはOK、デビットカードはNG」となっている場合があります。

  • 毎月、自動引落としされるもの(公共料金、携帯電話料金、プロバイダ料金、生命保険料など)
  • 高速道路料金、ガソリンスタンド、機内販売など

詳細は、デビットカード発行元銀行のホームページ、サービス提供会社のホームページを確認して下さい。いくつか事例を挙げておきます。

「毎月の自動引落としで、クレジットカードはOK、デビットカードはNG」の理由を推測すると…
毎月の自動引落としの手順は、以下のようになっている場合があります。

  1. サービス提供会社が、月の上旬に与信枠を確認する
  2. サービス提供会社が、月の下旬に請求処理を実行する

この手順はクレジットカードでは正しく機能しますが、デビットカードの場合は 1,2 それぞれで引き落としてしまう、つまり二重引き落としが発生する場合があって、これが「デビットカードは使えません」の理由かなと思います。

ですが…
「デビットカードは利用できません」となっている場合であっても、「毎月の自動引落としに対応できます」と謳っているデビットカードであれば使える場合があります。(二重引き落としが発生しない)
例えば以下があります。

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