所得税の計算方法をまとめてみました。
課税の対象
以下が所得税の課税対象になります。
所得の計算
多くの人に関係する給与所得・公的年金等の所得について説明します。
給与所得
給与所得は、以下で計算します。
(給与所得)=(給与収入) – (給与所得控除)
- 給与収入とは
- 年間に支払われた給与の総額であり、「給与所得の源泉徴収票」に記載される “支払金額” である
- 給与収入の範囲は会社員の場合、「給与+賞与」になる(詳細は、所得税法 第28条)
- 給与所得控除とは
- 会社員の必要経費とみなして給与収入から差し引く金額であり、これにより所得税が軽減される
- 給与所得控除は給与収入に応じて決まる。年ごとに改定されるが、令和2年・3年は下表が適用されている(詳細)
給与収入 | 給与所得控除 |
1,625,000円 以下 | 550,000円 |
1,625,001円 ~ 1,800,000円 | 給与収入 × 40% – 100,000円 |
1,800,001円 ~ 3,600,000円 | 給与収入 × 30% + 80,000円 |
3,600,001円 ~ 6,600,000円 | 給与収入 × 20% + 440,000円 |
6,600,001円 ~ 8,500,000円 | 給与収入 × 10% + 1,100,000円 |
8,500,001円 以上 | 1,950,000円 |
公的年金等の所得
公的年金等は雑所得に分類されて所得税の課税対象になりますが、公的年金等控除により税額が軽減されます。
(公的年金等の所得)=(公的年金等の収入) – (公的年金等控除)
- 公的年金等とは、以下を含む
- 老齢基礎年金、老齢厚生年金、公務員の共済組合などによる年金
- 企業年金、iDeCo(年金として支給される老齢給付金)
- 退職金共済等(中小企業退職金共済等から支給される分割払いの退職金)
- 公的年金等の収入とは
- 年間に支払われた公的年金等の総額であり、「公的年金等の源泉徴収票」に記載される “支払金額” が公的年金等の収入である
- 公的年金等に該当する年金を複数受給している場合は、それらの合計額
- 公的年金等の所得の求め方
- 公的年金等控除は、年齢(65歳未満/以上)と公的年金等の収入に応じて決まる
- 年ごとに改定されるが、令和2年・3年は下表が適用されている
- ただし、公的年金等による雑所得の他に所得がある場合は、その合計所得金額が1,000万円以下の場合に下表が適用される。
その他の場合はこちらを参照。
- ただし、公的年金等による雑所得の他に所得がある場合は、その合計所得金額が1,000万円以下の場合に下表が適用される。
(1) 65歳未満の人
(a)公的年金等の収入の合計額 | (b)割合 | (c)控除額 | 公的年金等の所得 |
600,000円まで | - | - | 0円(非課税) |
600,001円 ~ 1,299,999円 | 100% | 600,000 円 | (a) x (b) – (c) |
1,300,000円 ~ 4,099,999円 | 75% | 275,000 円 | 〃 |
4,100,000円 ~ 7,699,999円 | 85% | 685,000 円 | 〃 |
7,700,000円 ~ 9,999,999円 | 95% | 1,455,000 円 | 〃 |
10,000,000円以上 | 100% | 1,955,000 円 | 〃 |
(2) 65歳以上の人
(a)公的年金等の収入の合計額 | (b)割合 | (c)控除額 | 公的年金等の所得 |
1,100,000円まで | - | - | 0円(非課税) |
1,100,001円 ~ 3,299,999円 | 100% | 1,100,000 円 | (a) x (b) – (c) |
3,300,000円 ~ 4,099,999円 | 75% | 275,000 円 | 〃 |
4,100,000円 ~ 7,699,999円 | 85% | 685,000 円 | 〃 |
7,700,000円 ~ 9,999,999円 | 95% | 1,455,000 円 | 〃 |
10,000,000円以上 | 100% | 1,955,000 円 | 〃 |
課税対象額を算出する
全ての所得の合計から、各種の控除を差し引く。
(課税対象額)=(全ての所得の合計) – (下記の控除)
- 社会保険料控除(公的保険の保険料の控除)
健康保険、介護保険、国民年金保険、厚生年金保険、雇用保険など - 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除(民間保険の保険料の控除)生命保険、介護医療保険、個人年金保険
- 地震保険料控除(民間保険の保険料の控除)
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 障害者控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
- 雑損控除 (災害、火災、盗難、横領などの損失があった場合に受けられる控除)
- 医療費控除 (一定額を超える医療費を支払ったときに受けられる控除)
- 寄附金控除 (ふるさと納税など)
課税対象額に対する税額を算出する
課税対象額に、下表の税率と控除を適用します。(下表は令和3年現在、詳細)
(課税対象額に対する税額)=(課税対象額) × (税率) – (控除額)
課税対象額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 ~ 1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円 ~ 3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 ~ 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 ~ 8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 ~ 17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 ~ 39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
各種控除を差し引く
「課税対象額に対する税額」から、下記の控除を差し引きます。
(控除後の所得税額)=(課税対象額に対する税額) – (下記の控除)
- 配当控除
- 住宅借入金等特別控除(一般住宅、認定住宅)
- 政党等寄附金等特別控除
- 住宅耐震改修特別控除等
- 災害減免額
納税額を算出する
「控除後の所得税額」に対して、以下を計算した結果が納税額になります。
(納税額)=(控除後の所得税額) × 1.021 – (外国税額控除等)
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